理事長所信

理事長所信
理事長所信 2018-05-19T22:04:29+09:00
小澤 孝一郎
小澤 孝一郎一般社団法人甲府青年会議所 2018年度 理事長

「虹」には様々な色が含まれていますが、そのすべてが太陽の光から分かれたものであり、各色の間に明確な境界を引くことはできません。虹色は人が認識できるすべての色を含むことから「多様性」「調和」の象徴として用いられます。また、虹は「夢」「希望」といったイメージを人に与えてくれます。私たち一般社団法人甲府青年会議所も様々な「色」を持った会員で構成されています。会員ひとりひとりが特色を活かし、ともに目的に向かって行動することが、成果を生み出すことに繋がります。
明日は必ずよくなると願い、まっすぐな道を歩み、懸け橋の先に私が見たものは、山の都が大きな可能性を秘めているという「希望」であります。可能性を可能性のままで終わらせることなく、未来に希望を紡ぐのは我々JAYCEEの役割であると確信しています。

一般社団法人甲府青年会議所は、1951年の設立以来、一年一年その時に求められる要望を探り、地域の課題解決をしながら66年の歴史を積み重ねてきました。66年が経過した現代、インターネットに代表される情報化社会の発展がもたらした近年の社会構造の変化、産業構造の変化により、青年会議所の存在意義も変化してきていると感じます。特に近年、格差社会に代表される「資本主義経済の行き詰まり」がささやかれ、理念経営を根幹とした日本型経営が注目を浴びる中、理念を追い求めた青年経済人で組織される青年会議所の存在意義は高まっているのではないでしょうか。このような状況下で、「明るい豊かな社会の実現」のために、我々青年会議所は地域資源を活用し、我々にしかない想いと言葉と行動により「成果を出す」ことが必要だと考えます。

我々、一般社団法人甲府青年会議所は、地域における「先駆者(パイオニア)」として存在していると思います。我々は先駆者として率先して新たなことに取り組み、社会に役立つ仕組みづくりができる存在であります。一般社団法人甲府青年会議所の歴史を振り返ると、甲府JC奨学資金の構築、甲府大好き祭りの前身となる甲府市民祭りの立上げや山の都ふれあいコンサートの開催、湖衣姫コンテストの開催、郷育フォーラムの構築など、まさに先駆者として現在も地域に根付く成果を生み出してきました。この「先駆者としての志」は設立以来、全く変わらないものです。我々は、決して行政の補完組織ではなくまた営利組織でもありません。自らがまちのことを想い、計画し、行動してきた結果、地域に根付く仕組みを創造してきたのです。

現在、この山の都は大きな可能性を秘めております。2019年中部横断自動車道の延伸、2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催、2027年リニア中央新幹線の開通などの国家プロジェクトに大きく関与する地域であり、東京と隣接している地理的メリットが活かせる可能性を内包しております。また東京の隣接県でありながら多くの山・木々・水などの自然を有し、国の東京一極集中解消に基づく「地方移住」が注目される中、山梨県は移住先ランキングでも高い人気を誇っております。地域に目を向ければ「観光立県」として2019年「こうふ開府500年プロジェクト」、2021年「信玄公生誕500年」など大きなトピックスが目白押しとなっております。この大きなチャンスを活かせるかどうか、「山の都の再興は我々甲府青年会議所の仕事である」という気概を持ち、あらゆる業種の会員で構成される青年会議所のスケールメリットを活かし、様々な施策を計画し、取り組んでいくことが大きな成果につながります。

また、我々は青年経済人として、地域経済や都市計画などに強い関心を持ち、専門知識にも富み、具体的な施策を構築できる経営的な目線を持つことが大事です。国ではIR推進法案が可決しMICEの促進など社会を変える仕組みが生まれ、一方では先進技術を使った人工知能が実用化されるなど、日々社会は変化しています。我々はこれらの情報をいち早く捉え、知識を知識のままで終わらせず、青年としての行動力を持って実行することが必要になります。

ところで、我々の活動は地域住民に幅広く周知されているでしょうか。我々は地域の事を考え、様々な計画を実行し、地域に根付く仕組みを作り出してきていますが、認知度が十分でないと感じます。「甲府青年会議所は素晴らしい活動をしていると思いますが、それは関わってみて初めて知りました」という言葉を聞くことが何度もありました。我々がまちを愛し、まちのために様々な施策に取り組んでも、その活動が伝わらなければ、「みんなでこのまちを良くしていこう」という機運は高まりません。我々の運動を広く周知することが、本気でより良いまちを創り出す雰囲気を醸成していくことにつながるのではないでしょうか。

世の中を見通し、何が必要とされているのか、何が欠けているのかを見極め、社会の要求に応えてきた一般社団法人甲府青年会議所が「今」おこなうべきことの答えは、<計画>と<行動力>で地域の持つ可能性を引き出し魅力ある「山の都」を創り出すことであります。

【全会員で会員拡大に取り組む】

大きな物的資産を持たず、会員によって構成される青年会議所において、会員数=組織の力と言っても過言ではありません。自分の住むまちをより良くしたいという会員が集まることで、独創性のある取り組み、地域に根差す取り組みが生まれてきます。組織の力となる仲間を増やし、より影響力のある組織に昇華するように会員拡大に取り組むことが必要です。ところで、会員拡大活動は担当者のみがおこなうものではありません。40歳で卒業することが決められている青年会議所において、脈々と組織を紡いでいくためには、常に会員拡大を意識していなければならないと考えます。会員拡大は今後の一般社団法人甲府青年会議所のあり方を大きく左右する要素であるということを全会員が理解し、ひとりでも多くの仲間を作る行動をしていくことが重要です。2018年度は全体運動として、常に会員拡大を意識する機会をつくって参ります。そして、地域に影響力のある青年経済人を増やすためにも、一般社団法人甲府青年会議所で磨かれ、地域でトップリーダーとして活躍されている先輩諸兄とのつながりを活かした会員拡大をおこなっていきます。
個人ではできないことを成し遂げるために「組織」があり、共に活動する中で育まれる強固なつながりこそが、「力」となり、山の都の課題解決につながります。近年、入会3年未満の「アカデミー会員」の比率が増えており、2018年度は約4割がアカデミー会員で構成されます。これらの会員が次代を担うJAYCEEとして成長するために日本JCの育成プログラムや研修を取り入れ、育成をしていきます。

【これからのまちづくり】

大都市東京に隣接する立地、道路・鉄道などのインフラ整備、そして世界遺産を有する景観など、山の都は大いなる発展の可能性を持っています。特にリニア中央新幹線の開通によって生み出される、東京-名古屋-大阪のメガリージョンという巨大な新地帯、そこに南北を通る中部横断自動車道など巨大な経済地帯の中心に位置するこの山の都は新たな可能性を持つ地域として評価されつつあります。そして日本を代表する観光資産「富士山」を有し、日本屈指の景観を誇る環境は世界から人を呼び込む力があると考えます。この可能性をどのように生かすかがこの山の都の発展を大きく左右することは言うまでもありません。創設以来「どうしたらより良いまちになるか」を考え続け、様々な団体と連携し、地域資源を活かしたまちづくりをおこなってきた我々こそが、具体的な道筋を示し、運動を巻き起こせる唯一の団体ではないでしょうか。統計情報やビッグデータに裏付けされたエビデンス、まちづくりのプロフェッショナルとの関係、行政とのつながり、青年会議所のスケールメリット、それらをすべて活用し、山の都の未来に希望を与えます。

【我々の活動を広く周知するプロモーション】

我々が古くから継続しておこなっている事業も一般社団法人甲府青年会議所が主催していることが知られていない現状があります。我々の継続事業を含め、情報発信をしっかりとおこない、メディアへの露出を増やし、我々の活動を知っていただくことが、組織のイメージアップや信頼を得ることに繋がります。その結果、一般社団法人甲府青年会議所の社会的存在感が強まり、事業への参加者を増やすことになり、延いてはともに活動する同士を増やすことにもつながります。そのためにも日々の取材活動、記録保存で情報発信の素材を集めていくことが不可欠です。近年はインターネットの登場により、ホームページやSNSなど様々な情報発信方法がありますが、最も効果的なプロモーション方法を考え、「甲府JC」を宣伝していきます。

【例会を通じた会員交流】

我々の活動でもっとも大切にしなければいけない事業は毎月開催される例会であります。会員が集う例会は、成果が生まれる場であり、会員同士の友情が生まれる親睦の場でもあります。委員会・会議体は例会に照準を合わせ、計画書に魂を込め、合意形成をはかり、日々の活動の結果を例会で表現します。近年、その例会への参加率が低下している状況があります。例会出席は会員の義務であるにもかかわらず約3割以上の会員が例会を欠席している現状を改善しなければ、会員の意識共有がはかれず、我々の活動が地域に伝わるはずがありません。例会出席率を上げるためにしっかりと情報共有をはかり、早い段階で会員に情報を伝達することが大切です。また常に会員の親睦をはかり会員同士の関係を構築することが例会、事業への参加率向上の基礎となります。すべての委員会とのかかわりを持ち、情報を会員に伝えることで例会をより魅力のある場所に昇華させます。

【スポーツを活かした青少年育成】

子どもが持つ無限大の可能性は地域の「希望」です。未来の担い手となる子どもたちにその可能性を大きく花開かせるために不可欠な「挑戦する心」を持っていただきたいと思います。挑戦の先には多くの学びが待っています。子どもは様々な経験をして成長します。挑戦の先には、失敗や成功がありますが、やり遂げたときの達成感は自らに自信をもたらし、成長させてくれる大切な経験です。子どもが挑戦する代表的なものは、スポーツではないでしょうか。スポーツを通じて得られる仲間、忍耐力、問題を乗り越える力は社会に出たときに何にも代えがたい財産になります。近年、スポーツをする子どもの割合が減っているという統計があります。スポーツに触れる機会を増やし、子どもがスポーツの魅力を体感することで青少年の「挑戦する心」を育成していきます。

【甲府ににぎわいを創り出す】

我々は今日まで、常に地域をより良くしたいという想いのもと、様々な団体と連携し、山の都に存在する文化、歴史、自然、食、人などの地域資源を活用し、「地域の魅力」とも言える催しを生み出してきました。その過程で得られた「人と人のつながり」は一般社団法人甲府青年会議所のかけがえのない財産です。
今、我々の活動エリアである甲府市は、2019年には開府500年を迎えるなど大きなトピックスを控えています。我々はこの機会に、これまで生み出してきた魅力をさらに地域に大きく広げ、甲府の魅力として定着する催しを構築していくべきだと考えます。今までの実績とこれまでに作り上げた行政、学校、企業、団体とのつながりを活かし、甲府地域に賑わいを創り出し、山の都の継続的発展のトリガーとなる機会を作っていきます。

【組織を支える財務・総務】

青年会議所の事業は綿密に練られた計画によって実行され、結果が生まれます。良い結果が生まれたときそれは「成果」となります。だからこそ毎年毎年、計画書に魂を込め、会議に臨み、それを基に議論を交わして参りました。青年会議所活動のすべての基となる計画書をしっかりと作成し、精査することが会議の質を上げ、延いては実行の質を上げ、成果を生むことになります。また、効果的な予算配分となっているかどうかを精査し、外部資金の導入も視野に入れた財務運営が必要になってきます。また様々な文書がデジタル化されている昨今、我々の活動の財産である資料管理・保存方法を考えていかなければなりません。より効率的で実用的な資料の管理・保存に取り組んで参ります。

【総合計画検証】

2016年度に策定された「総合計画2016」は5サイクル検証における評価を導入しました。これにより事業内容の《妥当性》《有効性》《インパクト》《効率性》《持続性》について明確に検証されております。2018年度は「総合計画2016」の2年目として2017年の事業の検証も踏まえ、総合計画2016に定められた「まちづくり」「ひとづくり」「組織づくり」の基本方針に沿っているかどうかをしっかりと検証するサイクルを確立して参ります。また総合計画2016には拡大中期戦略を明確に定めており、2021年には会員数200名を掲げております。拡大活動が目標に則しているかもしっかりと検証して参ります。

【諸事災害対策】

2011年の東日本大震災、2016年熊本地震など日本全国で大きな災害が発生しています。我々山の都でも2014年には雪害にて大きな被害を受けました。突発的に発生する災害に対応することも我々青年会議所の責務であります。山の都の防災協定、災害ネットワークの構築を見据え、三市一町との結びつきを強めることが防災意識の向上につながると考えます。

【情報を循環させることで生まれる会員の連携】

青年会議所は地域に成果を生み出す過程において、その活動を通じて素晴らしい仲間ができる組織です。新しいことに取り組む先に待つ生みの苦しみ、そしてその先にある充実感。まさに「苦楽をともにする」仲間ができることが青年会議所活動の魅力であります。しかしこの魅力は活動に参加することでしか享受できません。参加することで得られる楽しさを会員に改めて知っていただくためにあらゆる機会と情報を共有する場を提供していきます。委員会の枠を超えた情報共有によって、会員の連携を強化していくことが、社会を動かす「原動力」になると考えます。

【出向者の支援と渉外への参加】

一般社団法人甲府青年会議所メンバーはLOMに所属するだけでなく、(公社)日本青年会議所、関東地区協議会、山梨ブロック協議会に所属しています。日本中には696の青年会議所が存在し、「明るい豊かな社会の実現」という理念のもと、各々が計画を立て活動していますが、LOMごとに特色を持っています。他のLOMが持つ魅力を知ることができるのが出向の魅力であります。目を外に向ければ新たな価値観を得ることができ、それを甲府JCに持ち帰ることで、個人の成長と組織の成長が生まれます。また、甲府JCとしてもJCI、日本JCが主催する事業を誘致することを視野に入れ、戦略的な出向戦略を立てることが重要になります。山梨のリーディングLOMとして、山梨ブロック協議会としっかりと足並みをそろえ、(公社)日本青年会議所の運動に積極的に関わりを持って参ります。(公社)日本青年会議所の運動発信の大きな事業に「京都会議」「サマーコンファレンス」「全国大会」があります。この3大渉外事業を含め、様々な渉外事業に参加することで、(公社)日本青年会議所の運動や最先端の知識など、まさに青年会議所のスケールを実感することができます。ひと言でいえば、渉外事業とは自らを成長させる大きなオポチュニティー(機会)であります。入会3年未満の会員が増えている中、渉外事業の意義と魅力をしっかりと伝えることが必要です。

【最後に】

われわれは今こそ足並みをそろえ、未来に希望をつないでいくことが必要であります。

そのために「どうやったら相手が喜ぶだろうか」と考え、時には自分の損得を超えて相手のために行動することが我々の責任だと思います。

お互いがその気持ちを持てばきっと組織はひとつになり、地域に希望を与えられる存在となると思います。

会員の「調和」と山の都の「希望」。

会員の「成長」と地域への「成果」。

その願いを「虹」という言葉に込めて。